平成26 年度香川県当初予算を議論する(上)

平成26年度香川県一般会計当初予算は、平成26年2月議会において原案可決(3月20日)された。同じく、特別会計予算と県立病院事業会計予算なども原案可決されている。ここでは一般会計当初予算について、知事の提案理由説明を踏まえながら予算の分析、予算内容の議論をしておきたい。

(1)平成26年度当初予算の概要

予算規模は4,356億円となり、昨年度予算4,274億円より約82億円の増加である。平成の時代に入っての予算規模推移をみると、平成元年度の約4,000億円弱から平成10年度の約5,600億円までは右肩上がりの増加の一途でした。以降は平成20年度の約4,400億円までは減少の一途をたどっている。平成21年度からは4,500億円を少しばかりの増減で推移してきた。国の「中期財政計画」に沿って県の「財政運営計画」の見直しを図っていることから、ほぼ計画通りの予算規模となっている。

では、歳入・歳出の予算構成を見てみよう。歳入では、構成比の第1は地方交付税(1,125億円・25.8%)、第2は県税(1,037億円・23.8%)、第3が県債(592億円・13.6%)である。次いで諸収入(472億円・10.9%)、国庫支出金(462億円・10.6%)、地方消費税清算金(254億円・5.8%)などとなっている。この10年間の推移では、地方交付税、県税、県債ともに漸減傾向にある。全体の予算規模が縮小していることから、構成比もそれに対応せざるを得ないことになる。注意したいことは、県債のうち臨時財政対策債への依存度が恒常的になっていることである。この臨時財政対策債は、後年になって地方交付税算定で斟酌されることから活用しやすい制度といわれている。ただ、地方交付税が漸増傾向を示していれば、地方財源としては効果的であろう。これはいわば、地方財源の確保をするうえでテクニカル的に編み出した国の制度設計であって、自主財源である地方交付税を確保するために、自ら借金としての県債を大きくしているものである。

歳出の構成比の第1は人件費(1,249億円・28.7%)、第2は公債費(629億円・14.4%)、第3は扶助費(423億円・9.7%)であり、次いで補助事業(249億円・5.7%)、単独事業(266億円・6.1%)などとなっている。人件費では、県職員、警察職員だけでなく市町の義務教育職員の経費も含まれているので構成割合が高くなっている。公債費は県の借金であり、いわゆる県債年度末現在高は約8,548億円と累積されており、先述の地方交付税算定部分を除いても5,055億円で、26年度の予算規模を上回る巨額なものである。県債全体で計算すると、1人当たりの借金は85万円、4人世帯だと300万円を超えるものとなる。

(2)知事の提案理由説明

毎年の2月議会(予算議会)には、当初予算の編成についての知事提案理由の説明がある。そこには知事自身の県政に対する基本姿勢が表明される。今回でいえば、「一昨年からの、政府の経済政策いわゆるアベノミクスの経済効果によって、各種の経済指標がいずれも改善を示す中、長く続いたデフレからの脱却が実現に向かいつつあります」といった具合である。ごく最近、ヨーロッパでの安倍総理大臣の演説でも、「日本銀行の分析では、9つある日本のすべての地方で、景気が回復しています。中小企業の景況感も、昨年末、プラスに転じました。~日本は、今まさに、デフレから脱却しようとしている」(OECD閣僚理事会、5月6日)と瓜ふたつといってよい。

こうした認識から、県勢の方向も「成長」がキーワードという。成長によって働く場の確保と安定した生活につながるとしている。具体的には、昨年7月に策定された「香川県産業成長戦略」には、希少糖、オリーブ、アートに関するプロジェクトが並んでいる。「うどん県」に次ぐピンポイント産業戦略に過ぎないのではないだろうか。成長戦略のほかについては、南海トラフ巨大地震への備え、交通事故対策、子育て、医療、介護などへの安心感が持てる社会づくりなどである。成長戦略のプロジェクトは具体的であるが、安心の社会づくりはピンポイント提言が説明されていない。

次号では当初予算の主要な政策についての知事説明を検討していく。第1は「元気の出る香川づくり」、第2は「安心できる香川づくり」、第3は「夢と希望あふれる香川づくり」の3本柱となっている。

(T)

月報359号(2014年6月号)